コウノトリと六人の子どもたち ネタばれなし感想
挿絵 モーリス・センダック
面白さ ★★★★★満点
メッセージ性 ★★★★★満点
ほっこり度 ★★★★★満点
1955年ニューベリー賞受賞
ジャンル ヒューマンドラマ 冒険
小学校高学年くらいから
コウノトリを巡って村は大騒ぎ
内容 コウノトリを呼ぶには、荷車の輪を屋根にのせなければならない。ショーラの村の6人の子どもたちは、そのために車の輪を探し始める。夢中になった子どもたちは、いつの間にかショーラの村のおとなたちを動かして……。
「考えてごらん、わたしたちが、なぜだろうと考えはじめると、いろいろのことを、ほんとうに起こるようにさせることが、まま、できるものだよ。」本文より
感想 ディヤングは、ニューベリー賞の常連作家です。彼らしいほのぼの、ほっこりとしたフンイキで終止話は進みます(*´∀`*)。
そしてストーリーは基本、広い世の中に出て大冒険! とは決してならず、ほぼ村の中で物語が展開していきます。てんやわんやという言葉がふさわしいですね。
みんなでコウノトリを居つかせるために奮闘し、協力し合います。そのうち今まであまりかかわらなかったもの同士、疎遠だった者たちに仲間意識が生まれ信頼が芽生えていくんです。特に子供たちを引っ張る役目のある大人が出てくるんですが、そのドラマがいいですね (´▽`)。子供たちの中で味噌っかす扱いだった子も、意外な活躍をしてみせたり L(・o・)」ワオ 。決して派手な冒険や、アクションや、感動的涙シーンはないけれど、とても面白く、登場人物たちの人間ドラマにグッときます(*´ο`*)=3 。なお、挿絵は「かいじゅうたちのいるところ 」 で有名なモーリス・センダック様です。
あえて難点をいえば、馬車の車輪(この本において最重要の小道具)や、堀、とか漁船というのは大体の日本の子どもにはなじみがないので、それらの細かい描写が出てくるシーンでは絵もない状態で、かなり想像しづらく、わかりにくいのじゃないかと思いました。
一応説明つけときます。
★そして、コウノトリですが、作中で、なぜみんながこうもコウノトリに来て欲しがるか読んでいてよくわからなかったのですが、調べてみると西洋では「コウノトリが住み着いた家には幸福が訪れる」という言い伝えがあるんだとか。
ちなみにここでいうコウノトリとは、ニホンコウノトリではなく、別種でくちばしの赤いシュバシコウ(ヨーロッパコウノトリ)のことだそう。
シュバシコウ↓
ちなみにシュバシコウは、普通の鳥のように鳴かずにクラッタリングと呼ばれる、くちばしを叩き合わせるように開閉して音を出すんだそうです。
これだと屋根に住みつかれてもあまりうるさくなさそう。西洋でコウノトリが好まれるのはこんなところにも理由の一つがあるのかも。
★こんな豆知識を見つけました
「シュバシコウは渡り鳥で、春になるとアフリカからやってきて家の屋根に巣をつくり、さらに害虫も食べてくれることから、ゲルマン民族の間では、幸せを運ぶ鳥と思われてきました。
そしてゲルマン民族は、人間は死ぬとその魂は空にのぼり、次に雨と一緒に地上に降り、そのあと沼地にたまって復活するのを待っている、と考えていたそうです。沼地にたまっている魂を新しく生まれてくる赤ちゃんに吹き込んでくれるのは、「ホレ」という女神で、この新しく命を授かった赤ちゃんを運ぶ役目を果たすのが、水辺でよく餌を探しているコウノトリ(シュバシコウ)になったのです」
出典先 http://aimee33.hatenablog.com/entry/2014/10/19/221211
★さらにさらに作中に出てきた、サンタクロースの日にしか食べられないという「ファットボール」なるケーキ。いったいどんなケーキなんでしょうか(・_・?) 。脚注では「メリケン粉をフライにした丸いケーキ」とあります。調べてみたのですが、オランダではクリスマスケーキというものはないそうです。
んん('ε')?大みそかに食べる、オリボールン という大きいボール状のドーナッツというのなら見つかりました。もしやこれのことか。
wikipedia掲載画像 作者Teunie
レシピ
「ドーナツよりモチモチ感があって、生地自体はそんなにあまくなく、粉砂糖をたくさん振って食べます・・・。」
気になる・・。作ってみようかしら。
やまねこ翻訳クラブの掲載はココ
最後に舞台となったオランダ、フリースランドの風景。
出典:I Love Health
http://www.ilovehealth.nl/food/leukste-hotspots-in-friesland/
いかにもオランダって感じですね。