バドの扉がひらくとき ネタばれなし感想
クリストファー・ポール カーティス作
2000年ニューベリー賞受賞
面白さ ★★★★★ 満点
元気になれる度 ★★★★★ 満点
感動度 ★★★★★ 満点
ジャンル 冒険 家族もの コメディ 孤児もの
みなしごバドの家族探しの旅
内容 バドが六つの時にママが死んだ。10歳になったある日、バドはひとりで、まだ見ぬお父さんを捜しにでかけることにした。ママが遺してくれたジャズバンドのチラシを手がかりにして。一九三〇年代の大恐慌のまっただなか、もちまえの明るさと知恵で困難を乗りこえていく黒人少年の姿を、ユーモア溢れる語り口で描いた感動的な物語。
感想 なんて楽しい本だろう(o゚Д゚o)、と読んだ時思いました。読み終わるのが惜しくなるくらい、ユーモラスな語り口に、わくわくするような冒険、登場人物たちもみな個性的で生き生きと描かれているんです。
「みなしご 黒人 家出 大恐慌時代のアメリカ」。この本のキーワードだけを拾い上げると重いです。だけどそんな暗い時代背景にもかかわらず、物語は主人公であるバドの語り口によって、終止ユーモラスにコミカルにすすみます。読み始めればたちまちその軽快な語り口に引き込まれて、みなバドと友達になってしまうでしょう(^O^)
そして楽しいだけでなく、家族の絆を感じて切なくなったり、ほっこりしたり、人の心の複雑さや繊細さを感じたりすると思います。
とても面白い、けれどそれだけじゃないこの作品の味わい深さは、大人でも子供でも楽しめるものになっています。
物語の舞台は1930年代のアメリカだからまだまだ黒人差別が色濃く残っていた時代。黒人が一人で町を歩くなんて命の危険さえありました。(ましてや当時のアメリカはあの有名な大恐慌の時代です。話の中にも登場する貧民キャンプの様子に当時の最下層人々の暮らしをかいまみれて興味深いですね。)けれどバドは自分で家族を見つけようと決心し、持ち前のユーモアと礼儀正しさで自分の道を切り開いていくのです。お母さんが死の直前に残した謎、親切な人たちとの出会い、はじめてのキス、そして家族愛。
元気になりたい人にも、胸がじーんとしたい人にもお勧めする一冊です
やまねこ翻訳クラブの紹介ページ
- 作者: クリストファー・ポールカーティス,Christopher Paul Curtis,前沢明枝
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2003/03
- メディア: ハードカバー
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作者のクリストファー・ポール カーティスさんは「ワトソン一家に天使がやってくるとき」 でも1996年にニューベリー賞オナー賞(ニューベリー賞の次点)を受賞しています。こちらもとても面白く、いい本ですよ!
ワトソン一家に天使がやってくるとき (くもんの海外児童文学)
- 作者: クリストファー・ポール・カーティス,Christopher Paul Curtis,唐沢則幸
- 出版社/メーカー: くもん出版
- 発売日: 1997/11/01
- メディア: 単行本
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