児童書のレビュー・考察ブログ

主に海外の小学生・中学生向け児童書の感想、考察をしています。

やぎと少年 ネタばれなし感想

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アイザック・バシェヴィス・シンガー作

 岩波書店

1967年ニューベリー賞オナー賞受賞 

面白さ ★★★★☆ 4点

メッセージ性 ★★★★☆ 4点

 感動度 ★★★★★満点f:id:g-mccaghrean:20181205022501j:plain

ジャンル フォークロア

内容 大切なやぎを売るはめになった少年とやぎの愛の物語や、こっけいなシュレミールの話など、ユダヤ出身のノーベル賞作家による7編。

 

感想 作者はユダヤポーランド人で、作中にはユダヤの祭日である、ハヌカユダヤ独特のドレイデルなど耳慣れない言葉が登場して、異文化の風習を垣間見ることが出来ます。

 

短編のどの作品も、民族叙事詩としては興味深く、価値のある作品だと思うけれど、純粋に話の完成度の高さという意味で言えば、題名にもなっている最後の話だけ他とは段違いだと感じました (*´∀`人) オォ:・:*:・。文章の端々に見られる、詩的な表現もさることながら、少年とヤギに起きた奇跡が胸にしみます。心温まる話とはこういう話のことですね(*´∀`*)。

それにしても四方を干し草に囲まれた空間ってどんな感じなんでしょうね。やかまし村シリーズとか、ハイジとかで干し草の中で寝たり、遊んだりするのを見てるとすごく興味惹かれるし、憧れますね。

 「かいじゅうたちのいるところ」で有名なモーリス・センダックの挿絵が、ちょっと不気味で、作品のブラックユーモア的な雰囲気をさらに増していて、いい味わいになっています。

作者のアイザック・バシェヴィス・シンガーの作品も邦訳されていて、「まぬけなワルシャワ旅行」は1969年年にニューベリー賞オナー賞を受賞しています。本書に出てくるヘルムの町はこの作品にも登場します。 

作中に出てくる、チーズブリンツとは、クレープや春巻きのような東欧系ユダヤ人の食べ物らしいです。薄力粉、卵、牛乳、塩、砂糖、ベーキングパウダー、クリームチーズがあれば作れるみたいです。


  

やぎと少年

やぎと少年

 

 

まぬけなワルシャワ旅行 (岩波少年文庫)

まぬけなワルシャワ旅行 (岩波少年文庫)

 

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