天才ネコモーリスとその仲間たち ネタばれなし感想
2001年カーネギー賞受賞
面白さ ★★★★★ 満点
メッセージ性 ★★★★★ 満点
ハラハラわくわく度 ★★★★★ 満点
内容 ある日突然天才になったネコ、モーリスとネズミたちが手を組んで、壮大なプロジェクトに着手した。驚くべき方法で荒稼ぎをしてきた彼らが、次なるターゲットとして選んだのは、とある地方の小さな町。しかし、一見のどかな町の地下には不吉な影が・・・。
そしてモーリスは、なわばりの隅にあるゴミの山でこのネズミたちと出会った。すぐに、やつらがほかのネズミとちがうことに気づいた。とびかかって抑え込んだネズミがキイキイ声でいったのだ。「この件について、ちょっとお話しできますかしら?」するとモーリスの真新しくすばらしい脳味噌のどこかで声がした。「話ができる相手を食べてはいけない。少なくとも言い分を聞くまでは」
本文より
感想 出だしがいいですね。面白そうな始まりだな、と思わせ、話に引き込まれ、読んでいくうちに、これから何が起こるんだろう、とわくわく(゚∀゚*)させられるつくりになっています。
キャラクターも会話もユーモラスで楽しいですね。次から次にハラハラする展開が起こり、飽きさせません。性悪で利己的なモーリスもどこか憎めないし。
ただ、巻き込まれただけの犬が痛い思いをするシーンは嫌でした。人間に命じられただけなのにイジメないで上げてほしかったです、テリー・プラチェットさん(´・ω・`)。
そして予想のつかない展開が次々と起こります。楽しすぎて読み終えるのが嫌になるほどでした(≧∀≦) 。
ファンタジーが好きな方、動物のお話が好きな方、わくわくするような冒険やちょっと不気味な話が好きな方にお勧めです!
ちなみに作中の出てくる「ネズミの王」についてこんな記事がありました。
「ネズミの死体がからまり合って一つの集合体を作り上げるラットキングという現象は、1500年ごろから報告されていた。ラットキングは未確認生物であるとか、凶兆の知らせなどと言われていたが、これはホコリや血液、毛や糞など粘着性のあるものがネズミの尻尾に付着し、絡まってできた偶然の産物である。」出典:驚愕の怖い話 https://ailovei.com/?p=92137
以下の画像、不気味なため下に置きます。閲覧注意!
ほかの方の読みやすいレビューをのせときます。
- 作者: テリープラチェット,Terry Pratchett,冨永星
- 出版社/メーカー: あすなろ書房
- 発売日: 2004/04/01
- メディア: 単行本
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以下、散文的ネタバレ感想注意です。反転
・読み始めてから、「おやおや?('ε')」と思いました。設定が 「フリスビーおばさんとニムの家ネズミ」によく似てるな。まるで一つの同じネタから、それぞれの作家が別の作品を書いたみたい、とそんな風に感じました。そう感じたのは、冒頭だけですけどね。
・ネズミたちが、「魔法」の力で、ただの動物から、考える力を持ってからの変化について書かれている部分は、思えばかなり深いと言えます。
一般的なことを言ってるとスルーしかけていたのですが、ちょっと立ち止まって読み直してみました。
例えば、作中の「起きてしまったことはそれでおしまい、明日は全く別のまっさらな日として迎えられた。だいたい、ネズミは明日がどうなるか考えたりしなかった。(中略)<いい>とか<悪い>とか、<正しい>とか<まちがってる>といった区別もなかった。そういうことはすべて、新しく生まれた考えだ。」
というあたりなんか、まさに雑念とか悩みとか煩悩ってそういうもので、そういうめんどくさいものを抱えて生きるからつらくなるという「人間の愚かさ」までもネズミが持ってしまうというのは面白いです(^O^)。
・そして、ダークタンが隊員を激励する演説とか、ラストの話の決着のつけ方とかはちょっと感動しました。
非常に読み応えのある本でしたね。
読んでいただき、ありがとうございました!