児童書のレビュー・考察ブログ

主に海外の小学生・中学生向け児童書の感想、考察をしています。

ザ・ギバー 記憶を伝える者 ネタばれなし感想

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ロイス・ローリー               

講談社

1994年 ニューベリー賞受賞f:id:g-mccaghrean:20190225013007j:plain

 

 面白さ ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20181205022501j:plain

メッセージ性★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20181205022501j:plain

世界観の完成度★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20181205022501j:plain

 内容 社会にうずまく悪や欲望、苦痛や悩みなどがすべえてとりはらわれた理想社会――喜怒哀楽の感情が抑制され、職業が与えられ、長老会で管理されている規律正しい社会――〈記憶を受けつぐ者〉に選ばれた少年ジョーナスが暮らすコミュニティーは、ユートピアのはずだった。けれども、理想の裏に隠された無味乾燥な社会の落とし穴に〈記憶を伝える者〉とジョーナスが気づいたとき、そこに暮らす人々が失っている人間の尊厳にまつわる記憶の再生を計ろうとする。

感想 私はまだ、新訳を呼んでいないので、旧訳の感想から話しますね。そのうち新訳も読む予定です。

不安な予感が徐々につのっていくユートピアの世界。

 

不便のない世界、争い、苦しみのない世界、憎しみやいじめも存在しない世界ってどんなものですかね。

そんな想像をこの本は架空の世界ながらリアリティにみちた描写でみせてくれます。

近未来を舞台にした『ユートピア』を舞台に話は始まっていきます。

その完成度の高い世界観は見所です。人間らしい生き方とはなんなのか、幸せとは、人生とは、幸福とは、愛とは。

読んでいるとこんなするどい問いを投げかけられるように感じます。ちょうど主人公と同じ、12歳のときに読んだのですがこの本が訴えていることの大筋はぼんやりわかりました。大人になってから読み直すとまた新たな発見があります。

近未来SFの中でもかなりの傑作だと思います。

映画版が作られてメリル・ストリープ出演で2015年9月に日本公開したようです。

 


The Giver TRAILER 2 (2014) - Brenton Thwaites, Katie Holmes Movie HD

 

ザ・ギバー―記憶を伝える者 (ユースセレクション)

ザ・ギバー―記憶を伝える者 (ユースセレクション)

 

 

ギヴァー 記憶を注ぐ者

ギヴァー 記憶を注ぐ者

 

ちなみにこの作者の『ふたりの星』という、第二次大戦下のデンマークを舞台にした本も非常にいい本なのでおすすめです。

ふたりの星 (子どもの文学―青い海シリーズ)

ふたりの星 (子どもの文学―青い海シリーズ)

 

 

読んでいただき、ありがとうございました!