ふくろう模様の皿 ネタばれなし感想
アラン・ガーナー 作
神宮輝夫 訳
評論社
1967年カーネギー賞受賞
面白さ ★★☆☆☆ 2点
メッセージ性 ★★☆☆☆ 2点
内容 「親同士が再婚したアリスンとロジャは夏休み、アリスンの母親の別荘にやってきます。深い谷間にある小さな村のお屋敷。この村出身であるグゥインの母親はお屋敷の家政婦に雇われ帰郷。三人の子どもは仲良くなる。ある日アリスンの部屋の屋根裏からたくさんの皿がでてくる。描かれた花柄のパターンを描き写していたアリスンはそれがふくろうの隠し絵なのに気づく。さっそく写した紙を切り抜き組み合わせるとふくろうの置物ができる。が、翌朝になるとそれはどこともなく姿を隠す。しかも皿からはパターンが消えている。憑かれたように、何枚も何枚も写しとってふくろうを作り出すアリスン。実はそれはこの村に延々と続く悲劇を封じ込めたものだったのです。」
出典: ひこ・田中 http://www.hico.jp/sakuhinn/6ha/fukuroumoyou.htm
感想
・いい点 謎がどんどん出てくるあたりがそこそこ面白かったです。
・悪い点
以下のレビューは基本的に愚痴がほとんどです。本作が好きな方は気を害される可能性がありますので、読み進めないことをお勧めします。
同作者さんの「エリダー 黄金の国」の時もそうでしたが、登場人物の説明なく、急に出てくるので、人物の年齢や関係性などがわからず、文脈で察するしかないのが不親切。まあ、グウィン、アリスン、ロジャは18歳くらいなのかな。
読んだ方たちの感想には「なにかが起きている緊張感、恐怖感」と書かれていたけど、別に怖くはない話だし、緊張感と言っても、サスペンスで読ませる、というほどでもないような。
一番重要なキーアイテムがフクロウの皿で、ポイントになるミステリーが「なぜか皿の模様が消える」とか言われても地味だし、微妙過ぎてテンションがあがらないです。
致命的だったのは主人公のグウィンがどうしても好きになれないこと。
皮肉屋で、手癖が悪く、不機嫌になるとタチ悪く人に絡み、暴言が不快で粗暴・・。イラっとしたからって、人が読んでいる本を蹴飛ばしたらダメでしょ。ガラ悪すぎじゃないですか。身近にいたら、関わりたくないタイプ。
善意的にみれば、グウィンが歪んだのは社会のせい、とかウェールズ人として差別される側の鬱屈した生きづらさがあったとか、いくらでも考えられますが、なにが嫌かって、作者さんはイングランド人であるロジャとアリスンの一家の嫌な部分は、非難がましく書いてる割に、グウィンの嫌なところは作者さん自身が全く自覚せずに書いているような印象を受けるんですよね。
作者さんの独善による勧善懲悪っぽさというか、独りよがり観が気持ち悪いんですよ。
グウィンが明らかなヒステリーや八つ当たりでもって周囲にあたろうが、作者からのお咎めは無しというのがね。
読みながら、「今のはどう考えてもグウィンが悪いだろ」と、何度思ったことか!
そしてこれは他の方のレビューでもたびたび言われていますが文章が読みにくい、わかりにくい。(そう思ったの、私だけじゃなかったんだ、とほっとしました!)会話や文章の前後が繋がらなくて意味不明。
ここに限らずこの作者さんの作品にはしばしばみられる特徴ですが、台詞での人物の心理がわかりづらい。
途中の山の上のあたりから、グウィンとアリスンがいい感じになったらしいんですが、そこでちょっと「ん?」と思いはするものの、気づきませんでした。そのシーンに関しては、説明不足の感が否めません。重要な展開のはずなのに駆け足描写すぎ。
そのせいで、私は二人の関係の変化に気づかず、グウィンが急にストーカー化したように思えてしまいました。結果、さらに強まるグウィン拒否症。
そしてとことん転落したグウィンのイメージはその後返上することなくラストを迎え…。
最後は同作者さんの「エリダー 黄金の国」に並ぶ「何、これ」なラスト。
置いてきぼり気分のまま、物語は幕を閉じました。
うーん、私には無理でした。主人公が好きになれないと、やはり作品自体受け付けなくなってしまいますね。本作は合わなかったようです。
まあ私はそういうのを気にしすぎるタチなのでしょうね。愚痴ばかりになってすみませんでした。
作中に出てきたメドウスイートの花
出典:http://www.yasashi.info/me_00006.html
読んでいただきありがとうございます。
こちらはテレビ映画版。
The Owl Service Episode 1 transmitted: Sunday, 21 December 1969