児童書のレビュー・考察ブログ

主に海外の小学生・中学生向け児童書の感想、考察をしています。

わたしがいどんだ戦い 1939年 ネタばれなし感想

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キンバリー・ブルベイカー・ブラッドリー作      大作道子訳 

評論社 

 2016年ニューベリー賞オナー賞受賞 f:id:g-mccaghrean:20190929093342j:plain

面白さ ★★★★☆ 4点

メッセージ性 ★★★★☆ 4点

内容 一九三九年。二度目の世界大戦さなかのロンドン。足の悪いエイダは、けんめいに歩く練習をしていた。歩けさえすれば、弟といっしょに疎開できる!―自分らしく生きるために戦う少女と、彼女をあたたかく包む村の人たちをえがく。

感想 暖かい物語でした。虐待、戦争とつらい描写も多いですが、暖かい。

スーザンがいい人過ぎる気もしたけれど、これは癒しの物語でもあると考えれば、納得。

非常に閉鎖的に育てられ、虐げられてきたエイダですが、悩み、あがきながらも強くなっていく彼女を応援しながら読んでいました。

 

エイダがやたら、馬のバターに執着するなあ、と感じたけれど、足の不自由なエイダにとってバターは「自由」そのものなんですね。

心の中では、愛情と自由を求めていながら、自分にはそれを得る資格がないと思ったり、スーザンの世話を拒絶するエイダの心理はリアルを感じます。訳者あとがきにあるように、作者さん自身も虐待の経験があるからこそのリアルさなのでしょうね。このお話は続編があるようでこちらも気になりますね。

 

わたしがいどんだ戦い 1939年

わたしがいどんだ戦い 1939年

 

 

わたしがいどんだ戦い1940年

わたしがいどんだ戦い1940年