ハロー、ここにいるよ ネタばれなし感想
エリン・エントラーダ・ケリー 作 武富博子訳 評論社
2018年ニューベリー賞受賞
面白さ ★★★★☆ 4点
メッセージ性 ★★★★☆ 4点
内容 ヴァージルはおとなしい。活動的な家族の中で、「カメ」(いつも甲羅に閉じこもっているから)と呼ばれるほどだ。女の子を好きになっても「ハロー」とひとこと声をかけることさえできない。悩みがあるときは、自称“霊能者”のカオリに相談に行く。ある日、いじめっ子に古井戸に閉じこめられてしまったヴァージル。カオリ、その妹、ヴァージルが好きになった女の子ヴァレンシアが、協力して彼を救い出すまでの様々な事件を描く、涙と笑いの友情物語。
感想 話のテンポがよく、サクサクと進んで短めにまとまっていて読みやすかったです。
本作の特筆すべき点は主役の3人が、スクールカーストでは決して上位でなさそうなメンバーで構成されていることでしょう。小柄でさえないフィリピン系のヴァージル、難聴でみんなの仲間に入れてもらえないバレンシア、占いが好きだけど、割と外れてる日系のカオリというクラスの隅にいた子たちにスポットを当ててくれています。
そんな彼らは、話の中でどうかかわっていくのか、自分の悩みとどう向き合うのかがこの物語の大きなポイントですね。
普通に面白いのですが、ただ本作の惜しい点を挙げるならば、伏線がちょっと露骨で、予想の範囲内に話が収まってしまっていましたね。読んでいて意表を突かれることがなく、キャラクターもストーリーもやや凡庸なのが残念。傑作・名作の宝庫であるニューベリー賞の中にあっては埋もれてしまう印象でした。