エレベーター ネタばれなし感想
ジェイソン・レナルズ作 青木千鶴訳
2018年 ニューベリー賞オナー賞受賞
内容 愛する誰かが殺されたなら、殺したやつを見つけだし、かならずそいつを殺さなければならない。―ウィルの兄が射殺された。悲しみに暮れるウィルが兄の洋服箪笥から見つけたのは、1挺の拳銃。仲間内に伝わる「掟」に従って犯人を殺すため、彼は部屋を抜け出し、エレベーターに乗り込む。自宅のある8階から地上に降りるまでの短い時間に出会ったのは、もう会えるはずのない、「やつら」だった…少年の復讐のゆくえを斬新な手法で描く衝撃作。
感想 散文的な文章の形式や文字のレイアウト、アナグラムなどの遊び要素が新感覚で面白かったですね(∩・∀・)∩。
ノイズのような背景が、エレベーターのなかと主人公の心の荒み具合を表しているようで、印象的。
荒んだアメリカの都会の空気感がすごく作品全体を覆っていて、作品自体も全場面が映画のように頭でイメージしやすくて絵になるので、ファッション映画に近いカッコよさもあったりしますね。
復讐の愚かしさ、憎しみの連鎖の不毛さというテーマ性を読み取ることも出来るけれど、そこの解釈は読者ひとりひとりに委ねている感じで、作中では語りすぎず、あくまで読者に選択を委ねているのがよかったです。
1時間程度で読めるボリュームだったのと、映画のようなドラマ性に引き込まれて即読了。
若い方や新しいもの好きな方などにお勧めします。
読んでいただきありがとうございました。