児童書のレビュー・考察ブログ

主に海外の小学生・中学生向け児童書の感想、考察をしています。

クレイジー・レディー! ネタばれなし感想

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ジェイン・レズリー・コンリー 作            

福音館書店

1994年ニューベリー賞オナー賞受賞 f:id:g-mccaghrean:20181205020107j:plain

面白さ ★★★★☆ 4点

メッセージ性 ★★★★☆ 4点

読みやすさ ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20181205022501j:plain

内容 となりのブロックにいるんだよ、やっかいな親子がさ。アル中でキレっぱなしの母親と、知恵おくれの息子と。初めはみんなといっしょに悪さをして、からかってた。…なのに、いつのまにか、友だちになってたんだ!

 

感想 

良い点

・読みやすい

・わかりやすい

 

悪い点

・突出したものがない

 

 

お勧めする人―手軽に読めるヒューマニズム小説が読みたい方

 

劣等生でコンプレックスでいっぱいの中学生の少年が、町内でも有名な変人の母と、その子供と知り合って、成長していく物語。題名にもなっている、クレイジーな女性は、知的障害を持つ男の子のおかあさんなのですが、変人というよりは、底辺(+。+)。飲んだくれで、口が悪くて、だらしない。その底辺さはちょっとリアルですね。現実にいそうな感じのダメ人間描写はいいです。

ただ、うっかり変人にかかわってしまった主人公が、その後もずっと彼らと関わり続け、親身になる理由がいまいち書けていない気がします。年ごろの少年から見たら、普通はこの手に人たちはめんどくさい奇人でしかないと思うのですが。母子がそこまで人を引き付ける魅力があるようにも書かれていなかったしf:id:g-mccaghrean:20190609230627p:plain

少年は、いわゆる学習障害のようなものがありそうな気がするのですが、そういった、自分に引け目を感じている人間は社会の片隅で生きている人たちと通い合える、とかそういうことが言いたいのでしょうか。

それでも個人的には、主人公が太っていて、勉強もできず、大好きな野球も町一番どまりで、兄弟に意地悪するような特にいい子なわけでもないというのは、いい子がほとんどの児童書の中では好感が持てます(^O^)。

 

クレイジー・レディー! (世界傑作童話シリーズ)

クレイジー・レディー! (世界傑作童話シリーズ)

 

ところで、驚いたのですが、この作者さんのジェイン・レズリー・コンリーは1972年のニューベリー賞受賞作、「フリスビーおばさんとニムの家ねずみ」を書いたロバート・C・オブライエンの娘さんなのですね。親子でニューベリー賞受賞してるのですね。

フリスビーおばさんとニムの家ねずみ (子どもの文学・青い海シリーズ)

フリスビーおばさんとニムの家ねずみ (子どもの文学・青い海シリーズ)

 

 オブライエンの遺作に手を加えて完成させた続編、「ラクソーとニムの家ねずみ」で作家デビューしています。

ラクソーとニムの家ねずみ

ラクソーとニムの家ねずみ

 

 作中に出てくる「ヘンリーくんとビーザス」は、ニューベリー賞常連作家のベバリイ クリアリー作の「ヘンリーくんシリーズ」ですね。

 

ヘンリーくんとビーザス

ヘンリーくんとビーザス

 

 ほかの方の感想です。

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