魔法にかけられたエラ ネタばれなし感想
ゲイル・カーソン・レヴィン 作
三辺律子 訳
サウザンブックス社
※旧訳「さよなら、いい子の魔法」はサンマーク出版
1998年ニューベリー賞オナー賞
面白さ ★★★★☆ 4点
メッセージ性 ★★★★☆ 4点
女の子の夢が詰まってる度 ★★★★☆ 4点
内容 ロマンティック・コメディ要素満載のファンタジー作品。 決していい子なだけではないヒロインが、 自分の意思で幸せをつかみ取る、現代版シンデレラ・ストーリー。
生まれたばかりで、妖精に「従順」という贈りもの(というより呪い?)を与えられたヒロインのエラは、他者からのどんな命令にも「従順」に従わなければならないという運命を背負っている。その呪いが気に食わないエラは、おとなしく従順になるどころか、かえって反抗的な、でも明朗な少女に成長した。十五歳になる直前、最愛の母を亡くしたエラは、大人の建前ばかりが交錯している母の葬儀の場で、大声で泣き出してしまい、怒った父親に追い出される。墓地のいちばん大きな木の元で泣いていたエラは、そこで背の高い青年に出会った。褐色の巻き毛と浅黒い肌をしたその青年は、エラよりふたつ年上のシャーモント王子で……。
感想 2000年出版の「さよなら、「いい子」の魔法」が絶版した後に、2016年にクラウドファンディングで再出版された本書。
女性向け作品は苦手ジャンルなので、今回感想はシンプルに箇条書きで書いていきますね。
・複数の女性に寄ってたかってイジメられるという構図は、メルヘンや少女漫画でありがちだけど個人的にはどうも乗れないたぐいなのでこの話もそんなにハマれませんでした。継母と姉妹が最後までただのやな奴として書かれるところも含めて。
・シンデレラの現代風アレンジがうまい!
・見せ場の一つであろう、オリジナルの魔法の世界観はオグルが動物園にいるところとかそれなりに面白い。フェアリーゴッドマザーの絵本もまあ、そこそこ面白い。
・とにかく妖精ルシンダがムカついてムカついて前半は特に「ルシンダ殺す(#゚Д゚)!」と思いましたね。
・マンディはいいキャラでした。
・背の高い、めちゃくちゃ優しい王子さまととんとん拍子に両想いになるのはちょっと調子がよすぎる気もする。
・クライマックスの展開はよくできてて素晴らしかったです。現代的な再解釈とか、メッセージ性とかの意味でもよかった。「従順になる魔法」というのは考えれば、深い解釈が出来そうですね。
・ネットの評判ですが、旧訳の題名がなんだか不評ですね。確かに、エラは別に最初から「いい子」ではないのでずれてる気がするし、若干ネタバレしてるしなあ。個人的には本家シンデレラをやや皮肉ってる感じが嫌いじゃないんですが。
・いろんな方のレビューを見ていると、「周りの目を気にして、息苦しさを感じていたけど本書を読んで励まされた」みたいな内容も多いので、「人に気を使いすぎてしまう女性、空気を読みすぎて生きづらさを感じている女性」におすすめです。
2004年に「アン・ハサウェイ 魔法の国のプリンセス」という題で映画化されてます。