児童書のレビュー・考察ブログ

主に海外の小学生・中学生向け児童書の感想、考察をしています。

ティナのおるすばん ネタばれなし感想

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イリーナ コルシュノフ 作
徳間書店

面白さ ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20181205022501j:plain

メッセージ性 ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20181205022501j:plain

わくわく度 ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20181205022501j:plain

内容  ティナはドイツに住む、8歳の元気な小学生です。今日は生まれて初めてのおるすばん。今日こそなんでもひとりでやって、お母さんに見直してもらおうと大はりきり。ところが、朝からとんでもないことばかり起こってしまい…? 子どものうれしさ、さびしさ、たのしさを見事に描いた、お話の名手コルシュノフによる傑作。

 

「でもティナは学校であったことを思い出しました。(中略)なんて日だろう。もう、なにもかもうまくいかない。なにもかも。」 本文より

 

感想 子どものころから何度も読んでいる、面白くて大好きな本です。これは主人公ティナの一日のお話です。意地悪な男の子、友達とのケンカ、嫌いな先生、臆病なトルコ人のクラスメート。楽しみにしていたその日はいやなことばかり(´・ω・`)

 

でもこの日ティナには本当にいろいろなことが起こるんです。それまで見えなかったことがわかってきます。素敵なこともたくさん起こります。本当の大事件というようなことは起こりませんが、きっとティナにとってこの日のことはずっと忘れない、人生がちょっと変わるような一日になったでしょう。

作者は子どもの心をよく知っているなと思いました。ティナは決してただのイイコちゃんではないです。けんかをしたり、近所の口うるさいおばさんには心の中で悪態とついたりするヽ(#`Д´)ノ、普通の女の子なんです。だからこそきっと読者はティナに親しみを感じて、ティナと一緒にこの波乱万丈な一日を楽しめるのです。

子供の本ですが、移民問題や、お年寄りと家族の関係、仕事や日々のやりくりの大変さなどの問題をさりげなく取り入れているところも素晴らしいです。

 

 ちなみに、作中に出てくる、クルミと蜂蜜の甘いトルコのお菓子はたぶんバクラヴァというものじゃないかと思います。薄いパイ生地のようなものを重ねて、そこに、バターと砂糖で味付けした胡桃とスパイスをはさんではちみつをかけたものだそうです。

興味を惹かれたのでamazonで買ってみました!

 糖蜜で水分が多くねっとりしていて、もっと独特のスパイスの香りとかするのかと思いきや、思ったほどは癖が強くなくそれなりに美味しかったです。パイ生地はサクサク感はそれほどないけれど、普通のパイの触感とほとんど変わりませんでした。冷蔵保存でひと月近く持ちます。

cookpad.com

ティナのおるすばん

ティナのおるすばん

 

 

また作者のイリーナ・コルシュノフは「セバスチアンからの電話」「みなしごギツネ」など多くの面白い本を出していますので興味のある方はぜひ手に取ってみてください!