児童書のレビュー・考察ブログ

主に海外の小学生・中学生向け児童書の感想、考察をしています。

クローディアの秘密 ネタばれなし感想

 

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カニグズバーグ

岩波書店

1968年 ニューベリー賞受賞f:id:g-mccaghrean:20190719215514j:plain

面白さ ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190719215422j:plain

メッセージ性 ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190719215422j:plain

わくわく度 ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190719215422j:plain

内容 クローディアは退屈だった。何か変わったことがしてみたい。でもダサいのはいや。家出することにしたクローディアは、一定の目標を持って計画を立てる。それは、快適で、今までとまったく違っていて、家のように気楽でいられるところへ行くこと。クローディアは慎重にパートナー(弟)を指名し、行き先(メトロポリタン美術館)を選んだ。でも、冒険に不測の事態はつきもの。すぐに、クローディアと弟のジェイミーは、専門家でも解けないような美術品にまつわるミステリーに巻きこまれることに。しかし、この謎を解くことができれば、クローディア自身が求める答えが見つかるかもしれない。 ユニークなストーリー、読者の心をつかんで離さない文体、独特な線画で定評のあるカニングズバーグの作品。ニューベリー賞受賞作の本書も、読者に本を置かせるすきを与えない。一角の人間になりたいというクローディアの願いと、その願いをかなえるために自分探しに出る物語は、特に思春期の入口にいて本当の自分を探し求めようとする子どもたちにとって、共感するところが多いはず。

感想 かなり有名な本なので、すでに語りつくされ、今更私なぞが語ることもないくらいですが。

本書は小学生の頃から大好きな本で、もう何度目の再読かわからないくらいなのですが、それでもやっぱりおもしろい。わくわくします!こんなに何度読んでも面白い本もそうそうないですよ!

 

美術館に家出というシチュエーションにもわくわく(*゚∀゚)=3、そして物語の中盤で出てくる大きな謎にもわくわく(*゚∀゚)=3。

子どものころは、このわくわく感だけを感じていたのですが、今読んでみると、クローディアの心理描写や成長譚としての物語性も深くて、「ここで作者は何を言いたいんだろう」と考えさせられたりします。あらすじで読む以上にストーリーに奥行きがありますよね。

クローディアもジェイミーも年相応の子供らしさがありながら、しっかり個性をもって作品の中で生きていて、二人のやり取りを読んでいるだけでも楽しいf:id:g-mccaghrean:20190719215926p:plain

 

そしてフランクワイラー夫人の、したたかさと優雅さとユーモラスさはとても魅力的ですね!これぞ大人の女性という感じで憧れます(*´∀`人)。

家出の決着も何とも夢とロマンに満ちていて素敵としか言いようがないf:id:g-mccaghrean:20190719215900p:plain

ワクワクの冒険に憧れる小学生にも、日常にあきあきしているヤングアダルト世代にも、そして人生を楽しみたい全ての大人にも自信を持ってお勧めできる一冊です(* ゚∀゚)ノ。

 

1973年にTV映画化されています。

 


 

フランクワイラー夫人役にイングリッド・バーグマンf:id:g-mccaghrean:20190719215422j:plain

 

ところで、本書はよくドルとセントが出てきますが、クローディアたちの買い物が今の日本でいくらくらいの価値なのか気になって、調べたら1968年当時の1ドルは今の約814円とわかったので、それぞれ計算してみましたf:id:g-mccaghrean:20190719215730p:plain

 

 ホットチョコレートサンデー 40セント 325円

クローディアが家庭憲法に違反するたびに引かれた5セント= 40円

電車賃片道1ドル65セント= 1340円

特売のチョコレートサンデー 27セント= 218

ジェイミーの持ってる全財産 24ドル43セン=ト 19884円

コンフレークのミルク代に送ってもらえる金額 25セント= 203円

1日目に2人がご飯に使った金額 1ドル50セント= 1219円

ランドリー代 25セント= 203円

ニューヨークタイムズ代 10セント= 81円

美術館が天使を買い入れた金額 225ドル= 18万3150円

二人が噴水で拾った金額 2ドル87セント= 2332円

郵便局で私書箱を借りる代金 4ドル50セント= 3663円

ジェイミーがタクシーの運転手に上げたチップ 17セント=137円

 

やまねこ翻訳クラブの本書のレビューとホットチョコレートサンデーのレシピを張っておきます。

 

www.yamaneko.org同作者さんの「魔女ジェニファとわたし」と本書が1968年、ニューベリー賞の優勝を争ったというのは有名な話ですが、すごいことですよね。こちらもそのうちレビューしたい。

※追記 レビュー描きました。こちらからどうぞ。

魔女ジェニファとわたし (岩波少年文庫)

魔女ジェニファとわたし (岩波少年文庫)

 

 

読んでいただき、ありがとうございました!