児童書のレビュー・考察ブログ

主に海外の小学生・中学生向け児童書の感想、考察をしています。

はじまりのとき ネタばれなしレビュー

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タィン=ハ・ライ

鈴木出版

 2012年ニューベリー賞オナー賞受賞f:id:g-mccaghrean:20181205020107j:plain

面白さ ★★★★☆ 4点

メッセージ性 ★★★★☆ 4点

 

内容 戦火のベトナムをのがれ、難民としてアメリカ合衆国でくらすことになった家族が、あらたに一歩をふみだすまでの1年。英語も話せないままいきなりアメリカにとびこんだ10歳の少女の目でみずみずしく描かれる、戦争、いじめ、隣人、家族……。じーんと心があたたまる物語。

 

「いちばんたくさんお願いしたことは、

父さんがうちの戸口にあらわれて、

かあさんのくちびるのはしっこが

上向きになること。

心配だらけで

いつも下をむいている

くちびるのはしっこが。」   本文より

 

感想 感受性豊かな少女の目線で語られる戦時下のベトナムから始まる話。

地味に面白かったですf:id:g-mccaghrean:20190422222737p:plain。読んでてきつくない戦争ものですね。

 

主人公の少女の置かれた状況はそれなりにしんどいものではあるんだけど、詩の文体で淡々と描かれているせいもあり、重くならずにさらっと読めました。読んでいて印象に残ったのは、ベトナム戦争当時の情勢とか、戦争の悲惨さとかそういうことより、小ネタや小さいエピソードでしたね。買い物代をちょろまかす話とか質素な誕生日の話とか主人公がお母さんの指輪をくるくるまわすのが好きとか、アメリカでの馬の鳴き声とか、そういう話が面白かったです(^O^) 。あまり社会小説的な考えさせられるような要素はないのでそういうのを期待するとがっかりするかも。

 

はじまりのとき (鈴木出版の海外児童文学―この地球を生きる子どもたち)

はじまりのとき (鈴木出版の海外児童文学―この地球を生きる子どもたち)

 

 

ほかの方のレビュー

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