児童書のレビュー・考察ブログ

主に海外の小学生・中学生向け児童書の感想、考察をしています。

歌う木 ネタばれなし感想

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ケイト・セレディ 作          松本恵子訳      

福音館書店(1971年)/偕成社(文庫版 1980年)

1940年ニューベリー賞オナー賞受賞 f:id:g-mccaghrean:20190903180323j:plain

面白さ ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190827163140j:plain

メッセージ性 ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190827163140j:plain

感動度 ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190827163140j:plain

 

内容 1936年ニューベリー賞、オナー賞の「すてきなおじさん」の続編。1914年、ハンガリー。農園の少年ジャンクシィは、勝気ないとこのケイトや優しいお母さん、お父さんと忙しくも、平和な日常を過ごしていた。しかし、戦争が始まって…。

感想 個人的な、ニューベリー賞本の最高峰f:id:g-mccaghrean:20190903180503p:plainこれほど、博愛と友愛に満ちた児童書を私は知らないです。

「女の子が馬にまたがるなんてはしたない」など、男女観こそ、古めかしく、時代を感じますが、ブタペスト生まれの著者が描く、当時のハンガリー農民のリアルなあり方なのでしょう。(後のほうで、作者さんの頭はそこまで固くないと感じれる描写もあります。)

一つ一つのシーンに一切無駄がなく、各エピソードも、物語全体の流れも完成度が高く、素晴らしいですf:id:g-mccaghrean:20190827170418p:plain

 

イラストの仕事もされていたという、作者さん自ら描かれた挿し絵も、きれい。

中盤以降は泣きっぱなしでした(ノД`)。

戦争という、悲惨な状況下での人間の姿を実直に描くことで、同時に描かれる人の暖かさ、美しさがよりいっそう胸に染みます。私的にはこれはもう、不朽の名作であり、人類の必読書にしてもいいくらいだと思っていますf:id:g-mccaghrean:20190827163140j:plain

絶版になってしまっていますが、ぜひぜひ、出版者様には再販を検討していただきたいです。

読んでいただきありがとうございます!

復刊リクエストよかったらお願いします(^O^)

www.fukkan.com

歌う木 (1980年) (偕成社文庫)

歌う木 (1980年) (偕成社文庫)

 

 

白いシカ (岩波ものがたりの本)

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