トニーが消えた日 ネタばれなし感想
マリアン・D・バウアー作
佑学社
1987年ニューベリー賞オナー賞受賞
メッセージ性 ★★★★★ 満点
為になる度 ★★★★★ 満点
内容 夏のあつい日、ジョニーは幼友だちのトニーと州立公園へ出かける。とちゅう、遊泳禁止の川でトニーが泳ごうと言う。ジョニーは断わるが、トニーにばかにされ、二人で競泳を始めた。ところが、川の中でトニーの姿が消えてしまった。
ー「じゃあ、泳いでみるっていうんだな。」
トニーはあごをしゃくり上げた。
「あったりまえさ。おまえがおくびょう風にふかれて、泳げないっていいださないかぎりはな。」
「どっちがおくびょうか、ためしてみようじゃないか」
ジョエルはいい返した。ー本文より
感想 子供というものは、口で注意しても、ろくに聞かないものですよね(´ヘ`;)。
これは物語の形を借りた、子供たちへの注意、警告ですね。
物語としても、楽しさというかエンタメ性は皆無と言っていいです。子供が読んでも決して楽しい話ではないと思います。
でも私はこれは、子供の必読書にしてもいいのではないかと思いました。
読んでいて、終始喉に何かがつっかえるような、胸がずっしりと重くなるようなそんな話ではあります。けれどなにげない、軽はずみな行動が、おふざけが、どれだけ恐ろしいことを引き起こすか、ということを本書で仮体験できるんですね。
子供に責任の重さ、約束の重さ、軽率な行動の代償わかってもらうのに最適だと思います。
ジョエルのお父さんは本当にいいお父さんですね。つらい体験をしたジョエルですが、こんなお父さんを持てたことは幸せだと思います。今後のジョエルと、その家族のことを思うと、重たい気持ちになりますが、このお父さんならジョエルを今後も、正しい方向に導いてくれるのではないかと思えました。
物語の舞台となった、バーミリオン川
wikipedia掲載画像 作者Tim Kiser
素晴らしい書評がありました。ネタばれあり、注意です。↓
http://www.hico.jp/sakuhinn/4ta/toni-.htm