児童書のレビュー・考察ブログ

主に海外の小学生・中学生向け児童書の感想、考察をしています。

トニーが消えた日 ネタばれなし感想

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マリアン・D・バウアー作

佑学社

1987年ニューベリー賞オナー賞受賞

メッセージ性 ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20181205022501j:plain

為になる度 ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20181205022501j:plain

 

 内容 夏のあつい日、ジョニーは幼友だちのトニーと州立公園へ出かける。とちゅう、遊泳禁止の川でトニーが泳ごうと言う。ジョニーは断わるが、トニーにばかにされ、二人で競泳を始めた。ところが、川の中でトニーの姿が消えてしまった。

 

ー「じゃあ、泳いでみるっていうんだな。」

トニーはあごをしゃくり上げた。

「あったりまえさ。おまえがおくびょう風にふかれて、泳げないっていいださないかぎりはな。」

「どっちがおくびょうか、ためしてみようじゃないか」

ジョエルはいい返した。本文より

 

感想 子供というものは、口で注意しても、ろくに聞かないものですよね(´ヘ`;)。

これは物語の形を借りた、子供たちへの注意、警告ですね。

 

物語としても、楽しさというかエンタメ性は皆無と言っていいです。子供が読んでも決して楽しい話ではないと思います。

でも私はこれは、子供の必読書にしてもいいのではないかと思いました。

読んでいて、終始喉に何かがつっかえるような、胸がずっしりと重くなるようなそんな話ではあります。けれどなにげない、軽はずみな行動が、おふざけが、どれだけ恐ろしいことを引き起こすか、ということを本書で仮体験できるんですね。

子供に責任の重さ、約束の重さ、軽率な行動の代償わかってもらうのに最適だと思います。

ジョエルのお父さんは本当にいいお父さんですね。つらい体験をしたジョエルですが、こんなお父さんを持てたことは幸せだと思います。今後のジョエルと、その家族のことを思うと、重たい気持ちになりますが、このお父さんならジョエルを今後も、正しい方向に導いてくれるのではないかと思えました。

 

トニーが消えた日

トニーが消えた日

 

 

物語の舞台となった、バーミリオン川

f:id:g-mccaghrean:20181226020838j:plain wikipedia掲載画像 作者Tim Kiser

 

 

素晴らしい書評がありました。ネタばれあり、注意です。↓

 

http://www.hico.jp/sakuhinn/4ta/toni-.htm