すえっ子のルーファス ネタばれなし感想
エレナー・エスティス作
1944年ニューベリー賞オナー賞受賞
面白さ ★★★☆☆ 3点
メッセージ性 ★★★☆☆ 3点
ほのぼの度 ★★★★★ 満点
内容 モファット家のすえっ子ルーファスは、いつも元気いっぱい。左利きなので草野球で思いがけない大活躍をしたり、腹話術の練習をしてみんなをびっくりさせたり…。無邪気でいちずな男の子の奮闘ぶりをあたたかく描きます。
感想
「元気なモファットきょうだい」、「ジェーンはまんなかさん」に続く、モファット兄弟シリーズ完結作ですね。
・よかった点 昔のアメリカの、のんびりした空気間が、それなりにほのぼのできます。
・悪い点 最初は大したことが起きずに、退屈。謎も冒険も大した事件もなく、ドキドキはらはらする冒険ものが読みたい方にはお勧めしません(´-ω-`)。第一次大戦下(1918年前後)のわりに、平凡で平和な日常描写が続きます。
そして作中に、登場人物の年齢と、作中の西暦が書かれていないってどうなんですか。シルビーという長女らしき子が、若い副牧師に想いを寄せられているという描写に、「ロリコン?」とぎょっとしましたΣ(゚д゚;)。(末っ子のルーファスが3年生とあるので8歳くらいとして、シルビーが最年長なら14くらい?)この、モファット兄弟シリーズは初読みなんで登場人物の年齢や兄弟の年の順もわからないんですが。
※追記
前年に出たこのシリーズの「ジェーンはまんなかさん」を読んだら、ルーファスが6歳でジェーンが10歳、ジョーイが13歳、シルビーが16歳と書いてありました。
じゃあ、ルーファスの10個上のシルビーはこのとき18歳になるので、副牧師さんのロリコン疑惑は晴れますね(;´∀`)。
でもルーファス8歳の時にジョーイは15歳くらい・・・・。その年ごろって、兄弟と遊ぶより、多くは友達と遊びたがるんじゃないかなあ・・・。15歳のジョーイが弟妹と一緒になって一日海水浴して遊ぶというのはやや不自然・・・とか思わなくもないけど、まあ、仲よし兄弟ということで!
個人的には、「花火とひみつのたから」で海賊ごっこを始めたあたりから、「この後どうなるんだろう」と思えるエピソードがちらちら出てきて、ちょっと楽しくなってきました。
エレナー・エスティスは1943年と1945年にモファット兄弟シリーズの「ジェーンはまんなかさん」と、「百まいのドレス」でニューベリーオナー賞、そして、1952年には「すてきな子犬ジンジャー 」でニューベリー賞を優勝している、ニューベリー賞常連作家です。優しく繊細な作風が特徴ですね。「すてきな子犬ジンジャー 」は、すでに絶版してるので、読むとしたら図書館で取り寄せするとかしかないですね。
「百まいのドレス」の感想はこちら。
シリーズ2作目の「ジェーンはまんなかさん」の私の感想は こちら。
以下、ネタバレ反転(どうでもいい、愚痴めいたことしか書いてません)
それにしても、他人の家でチャイムを押して、反応がなければ、勝手に家の中に入るっていうのは、アメリカ映画でも見たことあるけど、向こうでは普通のことなんでしょうか。不法侵入だろ、と思ってしまう。子供とはいえ、何度も不法侵入を試みるルーファスに不快感を覚えました(゚ペ)。
さらにその後、ジョーイというルーファスの兄が、ある知人の家を訪ねるのですが、事前に断りなく他人の家に行くのにはびっくりしました。しかもその尋ねた後の対応も、ひたすらだんまりを決め込んでいてひどい。正直呆れました。1910年代の話らしいので、まあ、電話もなかったから不意の訪問はまあ当時の普通なのかもしれないけど。児童書の登場人物がこんなに無礼でいいんですかね(゚-゚;)。
「下水管で光る目」という話が、オチは途中から予想がつくものなのに、妙にじらされて冗長な感じがしました。
なにより、毛皮目的で狐を捕まえて飼育しようとするジョーイが胸糞です。戦時下とはいえ、そんなにお金に困ってるわけでもなさそうで、あくまで私利私欲のための目論見だと思うと、ほんとに無理です(+。+)。
その後の彼の行動も性格悪いと感じることがちょこちょこありました。
ルーファスに友達がいないのも不自然。ジェーンには友達がいるということは、作者が女性だから男の子同士の友達というものが書けないのでは?と勘ぐってしまいました。なんだか不満ばかりになってしまい、本作が好きな方、ごめんなさい。
ほのぼのした家族ものが好きな方には安心して読める、いい本だと思います。
- 作者: エレナーエスティス,ルイス・スロボドキン,Eleanor Estes,渡辺茂男
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同作者の「百まいのドレス」
- 作者: エレナエスティス,ルイススロボドキン,Eleanor Estes,Louis Slobodkin,石井桃子
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子供の世界の、軽い気持ちで起こってしまう、仲間外れという題材で、エレナー・エスティスさんらしい、優しい視点から見つめ、語っていきます。短くて、重くないので、サクッと読めます。
読んでいただき、ありがとうございました!