アベルの島 ネタばれなし感想
ウィリアム・スタイグ作 麻生九美 訳
評論社
1977年 ニューベリー賞オナー賞受賞
面白さ ★★★★☆ 4点
メッセージ性 ★★★★★ 満点
内容 のんきな町ネズミのアベルは、ある日ピクニックにでかけて嵐に出あい、無人島に流される。愛する妻のもとへ帰るという決意を胸に、大自然の中でたった一人どうにか生きのびようとするが……。苦難を乗りこえ、強くたくましく成長してゆくアベルの、心あたたまる愛の物語。
感想 サバイバル冒険もの、というジャンルだけで収まらない、メッセージ性の強い良作です。
冒険ものが好きな方にはもちろんお勧めしますが、自然と人間のつながりや、人間の生き方についても訴えてくるものがあり、大変心揺さぶられる物語になっています。
個人的には前半は若干眠くなりましたし、アベルの性格の軽さがあまり好きになれなかったりしました。
けれど後半でぐっと引き込まれ、ラストが近くなった辺りでは胸がいっぱいになって、ちょっと泣きそうでしたよ(*´ο`*)=3 。
子どものころは冒険のわくわく感を、大人になったら深い細部を楽しめる本です。
本書はもっと評価されるべき!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
ちなみにウィリアム・スタイグさんは、1983年に「歯いしゃのチュー先生」でもニューベリーオナー賞を受賞しています。
本書が好きな方は、ゲイリー・ポールセン 作の、1988年のニューベリーオナー賞受賞作である、 「ひとりぼっちの不時着」をお勧めします!大好きな本で、いつかレビューするつもりです。
- 作者: ゲイリーポールセン,安藤由紀,Gary Paulsen,西村醇子
- 出版社/メーカー: くもん出版
- 発売日: 1994/07
- メディア: 単行本
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以下、本書のネタバレ感想のため、反転。
とてもしんどいはずの状況で、アベルが大自然への畏怖というか、共生意識、帰属意識的なものを感じていく、生命の本能的な生きる喜びとでもいうものに気づいていく、という過程はその心の豊かさに、読んでいるこちらも感動するものがありました
さらにフクロウとの死闘シーンでアベルが感じた怒りなんかは、とても真に迫っていると感じました。
カエルのゴーワーの、変温動物っぽい、どこかずぶとくてヌボーっとした存在感も妙に説得力があって良かったです。