児童書のレビュー・考察ブログ

主に海外の小学生・中学生向け児童書の感想、考察をしています。

海をおそれる少年(世界の名作図書館31)1969年版  ネタばれなし感想

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アームストロング・スペリー作

飯島淳秀訳

講談社

※旧約、新訳(「それを勇気とよぼう」 1974年版 久保田輝男訳で学研から出版)ともに絶版

1941年ニューベリー賞受賞 f:id:g-mccaghrean:20190929093342j:plain

面白さ ★★★★☆ 4点

メッセージ性 ★★★★☆ 4点

わくわく度 ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190827163140j:plain

内容 マファツ少年の島は、ひろいひろい太平洋のまっただなかに、それこそけしつぶのようにちいさく、ぽつんとうかんでいる、たいらなさんご礁の島です。

おそろしいあらしの海は、少年のおかあさんのいのちををうばいました。少年も、あやうく死ぬところでした。少年は海が怖くなりました。みんなから、ばかにされました。だれもあいてにしてくれません。少年はたったひとりで、島をにげだしていきます。いや、にげだしたのではなくおそろしい海に挑戦したのでした。

感想 

☆いい点

・全86ページと短いので、サクッと読める

・恐怖に立ち向かう、というわかりやすいテーマを、良質なストーリーに織り込んで見せてくれます(゚∀゚)挿し絵も雰囲気だしてて良いです

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やぎのあたまに―アウシュビッツとある少女の青春 ネタばれなし感想

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アランカ・シーガル作       

小柴一 訳  

草土文化(出版社)

1982年ニューベリー賞オナー賞受賞 f:id:g-mccaghrean:20190903180323j:plain

面白さ ★★★★☆ 4点

メッセージ性 ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190827163140j:plain

内容 ハンガリーユダヤ人達の、アウシュヴィッツに送られる直前までの迫害と不安の日々を、少女の目を通して綴るノンフィクション。

感想 

  • いいところ

ノンフィクションとして重厚で、人物の心情や当時の状況がきめ細かく描かれていて完成度が高いf:id:g-mccaghrean:20190929092401p:plain

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・歴史的悲劇であるナチスドイツのユダヤ人迫害を、一人の少女の視点に絞って読むことで、身近な感覚で追体験することが出来る

・物語は割と淡々と進み、児童書として適切な重さで残酷すぎない。

 

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プリンセス・アカデミー ネタばれなし感想

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シャノン・ヘイル 作
代田亜香子訳 

小学館

面白さ ★★★★☆ 4点

メッセージ性 ★★★★☆ 4点

夢がある度 ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190802160952j:plain

 2006年ニューベリー賞オナー賞受賞 f:id:g-mccaghrean:20190903180323j:plain

内容 ミリは、エスケル山の小さな村に住む十四歳の女の子。毎日、父さんと姉のマーダは石切りの仕事にでかけ、ミリは家の仕事やヤギの世話をする。そんなある日、低地から国王の使いがやってきて、王子の花嫁がこの村から選ばれると宣言した。そして、お妃候補を教育するプリンセス・アカデミーで、村の女の子二十人の学園生活が始まった。プリンセスになるのは、いったいだれ?

感想 きっと、作者さんも意図していると思うけど、一言でいえば、現代風シンデレラ系物語?

プリンセスや豪華な暮らしという「女の子の夢」f:id:g-mccaghrean:20190929092401p:plainの要素を出しつつ、「お姫様候補を育てる学園生活」という、ひねりがあったりしてなかなか楽しめました。少女漫画や、お姫様系おとぎ話が好きな方にお勧めします。

まあ、ニューベリー賞を取っている以上、話がシンデレラストーリーだけで終わるわけもなく、アカデミーの設立によって少女たちが変わっていくところは、現代的なメッセージ性を感じたし、伏線をきちんと回収していくのもうまく出来ていましたf:id:g-mccaghrean:20190908164650p:plain

どうでもいいですが、個人的には主人公のミリの冗談はスベっていると思いました。

わたしがいどんだ戦い 1939年 ネタばれなし感想

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キンバリー・ブルベイカー・ブラッドリー作      大作道子訳 

評論社 

 2016年ニューベリー賞オナー賞受賞 f:id:g-mccaghrean:20190929093342j:plain

面白さ ★★★★☆ 4点

メッセージ性 ★★★★☆ 4点

内容 一九三九年。二度目の世界大戦さなかのロンドン。足の悪いエイダは、けんめいに歩く練習をしていた。歩けさえすれば、弟といっしょに疎開できる!―自分らしく生きるために戦う少女と、彼女をあたたかく包む村の人たちをえがく。

感想 暖かい物語でした。虐待、戦争とつらい描写も多いですが、暖かい。

スーザンがいい人過ぎる気もしたけれど、これは癒しの物語でもあると考えれば、納得。

非常に閉鎖的に育てられ、虐げられてきたエイダですが、悩み、あがきながらも強くなっていく彼女を応援しながら読んでいました。

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揚子江の少年 ネタばれなし感想

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エリザベス・ルイス作 小出正吾訳  1958年版

講談社 (絶版してます)

(※ 本書は、3回翻訳されています。『長江上流の若者』本間立也訳 改造社 1938版/『揚子江の傅さん』小出正吾実業之訳 日本社 1942年版など)

 1933年ニューベリー賞受賞 f:id:g-mccaghrean:20190929093342j:plain

面白さ ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190827163140j:plain

メッセージ性 ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190827163140j:plain

わくわく度 ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190827163140j:plain

 

内容 舞台は1930年代の中国。父を失った少年は、農村から母と二人で都の重慶に出て、銅細工師の徒弟になるべく、小僧として働き始めます。

 

用語解説

苦力  クーリー。もと、中国の下層の人夫。東洋各地の下層労働者。

立ちん坊  道端や坂の下に立って待ち続け、荷車が通ればそれを押すのを手伝って駄賃を貰うことを職業としていた者

 

p21 かまどの神さま。

―中国では古来の習慣として、竈神(かまどがみ)が祭られていた。旧暦12月23日(または年によって24日)は祭竈節(さいそうせつ)で、かまどの大掃除をして、かまど神に天帝へ家庭が円満であることを報告してもらった。この日を旧正月(大年)に対して、小年(シャオニェン)とも呼んで、お正月の最終準備を開始する日とした。

P26

印半纏 (シルシバンテン)

―襟や背などに屋号・家紋などを染め抜いた半纏。主に職人や商家の使用人が着用する。

 

駕籠舁(かごかき)

―駕籠をかつぐことを業としている人。

 

感想 

・いい点 成長物語、サクセスストーリーとして完璧f:id:g-mccaghrean:20190929092401p:plain

出だしから引き込まれます。

主人公とお母さんの、無知さがリアルで人間描写が真に迫っています。登場人物の物の感じ方、考え方も現代の観念から読むと滑稽であったりして、逆にリアリズムを感じました。

当時の人々の、貧しさ、無知さ、身分や生まれによる不条理さ、そして重慶の都の喧騒や生活臭まが、時に生々しく、時に生き生きと描写されていましたf:id:g-mccaghrean:20190827170418p:plain

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極楽にいった猫 ネタばれなしレビュー

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エリザベス・コーツワース作          古屋美登里 訳  

清流出版

1931年ニューベリー賞受賞 f:id:g-mccaghrean:20190908164530j:plain

面白さ ★★★★☆ 4点

メッセージ性 ★★★★☆ 4点

 内容 日本を舞台に、涅槃図の作成を依頼された絵師と猫の交流を描く。

 

感想 戦前のアメリカ人が、日本を舞台に書いた本というのは、珍しくて興味深かったです。

お話は、日本に伝わる民話や昔話を思わせる内容で、面白いし、あまり知識もなかった釈迦の話が、子供にもわかるように要約されていて読みやすいですねf:id:g-mccaghrean:20190908164650p:plain

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歌う木 ネタばれなし感想

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ケイト・セレディ 作          松本恵子訳      

福音館書店(1971年)/偕成社(文庫版 1980年)

1940年ニューベリー賞オナー賞受賞 f:id:g-mccaghrean:20190903180323j:plain

面白さ ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190827163140j:plain

メッセージ性 ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190827163140j:plain

感動度 ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190827163140j:plain

 

内容 1936年ニューベリー賞、オナー賞の「すてきなおじさん」の続編。1914年、ハンガリー。農園の少年ジャンクシィは、勝気ないとこのケイトや優しいお母さん、お父さんと忙しくも、平和な日常を過ごしていた。しかし、戦争が始まって…。

感想 個人的な、ニューベリー賞本の最高峰f:id:g-mccaghrean:20190903180503p:plainこれほど、博愛と友愛に満ちた児童書を私は知らないです。

「女の子が馬にまたがるなんてはしたない」など、男女観こそ、古めかしく、時代を感じますが、ブタペスト生まれの著者が描く、当時のハンガリー農民のリアルなあり方なのでしょう。(後のほうで、作者さんの頭はそこまで固くないと感じれる描写もあります。)

一つ一つのシーンに一切無駄がなく、各エピソードも、物語全体の流れも完成度が高く、素晴らしいですf:id:g-mccaghrean:20190827170418p:plain

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魔女ジェニファとわたし ネタばれなし感想

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カニグズバーグ作 松永ふみ子 訳

岩波書店

1968年ニューベリー賞オナー賞受賞 f:id:g-mccaghrean:20190818105655j:plain

 

面白さ ★★★★☆ 4点

メッセージ性 ★★★★☆ 4点

内容 ニューヨーク郊外の小学校に転校してきたばかりのエリザベスは,ハロウィーンのおまつりの日に,黒人の少女ジェニファと出会いました.自分は魔女だというその風変わりな少女とエリザベスは,秘密の約束をかわします….『クローディアの秘密』とニューベリー賞をあらそった,カニグズバーグ初期の代表作.

 

感想 カニグズバーグというのは、不思議な作家で、冷静に客観的に淡々とした視線で、各キャラクターの個性や弱点を提示し、彼らがおかれている状況を観察するように描き出していきます。

 

今回もそカニグズバーグがしっかり発揮されているうえ、「魔女修行」という、魅力的なお題も何ともわくわく(゚∀゚*)しますね

魔女への憧れとか、いい子ぶりっこに対する反感とか、等身大の女の子の心情世界が実にリアルですね。子供から大人まで、楽しく読めるお話です!ただ、男性にはわかりづらいというか、感情移入しづらいかも。

読んでいただきありがとうございました!

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アベルの島 ネタばれなし感想

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ウィリアム・スタイグ作      麻生九美 訳     

評論社

1977年 ニューベリー賞オナー賞受賞 f:id:g-mccaghrean:20190818105655j:plain

面白さ ★★★★☆ 4点

メッセージ性 ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190819220522j:plain

内容 のんきな町ネズミのアベルは、ある日ピクニックにでかけて嵐に出あい、無人島に流される。愛する妻のもとへ帰るという決意を胸に、大自然の中でたった一人どうにか生きのびようとするが……。苦難を乗りこえ、強くたくましく成長してゆくアベルの、心あたたまる愛の物語。

感想 サバイバル冒険もの、というジャンルだけで収まらない、メッセージ性の強い良作です。

冒険ものが好きな方にはもちろんお勧めしますが、自然と人間のつながりや、人間の生き方についても訴えてくるものがあり、大変心揺さぶられる物語になっていますf:id:g-mccaghrean:20190819220559p:plain

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ガラスの家族 ネタばれなし感想

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キャサリン・パターソン作   岡本浜江 訳     

偕成社

1979年 ニューベリー賞オナー賞受賞f:id:g-mccaghrean:20190818105655j:plain

面白さ ★★★★☆ 4点

メッセージ性 ★★★★☆ 4点

 内容 里親の間を転々としてきた11才のギリーは、したたかな少女だった。愛されることのなかった少女が初めて知った家族とは。

感想 良作でした!

やはりパターソンは「巧い」作家です。

簡潔でわかりやすい文章と物語、しっかり確立されているキャラクターの個性f:id:g-mccaghrean:20190818120920j:plain

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きらきら ネタばれなしレビュー

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シンシア・カドハタ作        代田亜香子 訳             

白水社

2005年ニューベリー賞受賞 f:id:g-mccaghrean:20190719215514j:plain

 

面白さ ★★★★☆ 4点

メッセージ性 ★★★☆☆ 3点

 

 

内容  姉のリンがわたしに最初に教えてくれたことば、それは「きらきら」という日本語。深くてしかも透き通った海や空をあらわすことば。ある日系家族の強い愛のきずなを描き、全米の感動をよんだ美しい小説。

 

感想 微妙でした…f:id:g-mccaghrean:20190809134207p:plain

個人的に、とりとめのない日常話というのがすごく苦手で、本作も前半、たいしたことは起こらず、淡々と話が進むので、ちょっとしんどかったです。

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サム兄さんは死んだ ネタばれなし感想

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ジェイムズ・リンカン・コリアー&クリストファー・コリアー作        青木信義 訳    

ぬぷん児童図書出版

 

1975年 ニューベリー賞オナー賞受賞 f:id:g-mccaghrean:20190721182245j:plain

面白さ ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190719215422j:plain

メッセージ性 ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190719215422j:plain

読みやすさ ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190719215422j:plain

内容 アメリカ独立戦争でミーカ一家は渦中に入ってしまった。エール大学生の兄は参戦派、父は戦争反対派であった。間に立つティムの心は大きく揺れる。そしてただ悲しみだけが残っていた。戦争のむなしさを告発する物語。

 

 「反逆はいかん。うちでは裏切りは許さんぞ。わしらはイギリス人だし、王様の家来なんだ。そんな反逆なんか気ちがいのたわごとだ。」

「父さん、僕はイギリス人なんかじゃない。アメリカ人だ。祖国の自由のために戦うんだ。」   

本文より

感想 題名で示されているように、重くて、まじめでストイックな内容ながら、面白さや、物語としての盛り上がりもちゃんとあるという優れた作品ですf:id:g-mccaghrean:20190804115433p:plain

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月の光を飲んだ少女 ネタばれなし感想

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ケリー・バーンヒル 作      佐藤見果夢 訳

評論社

 2017年ニューベリー賞受賞 f:id:g-mccaghrean:20190719215514j:plain

面白さ ★★☆☆☆ 2点

メッセージ性 ★☆☆☆☆ 1点

 

内容 悲しみにとざされた町がありました。毎年、赤ん坊を生贄に捧げなければならないからです。森には悪い魔女がいて、赤ん坊を差し出さなければ町の人は皆殺しにあう、と信じこまされてきたのです。しかし、本当は善良な魔女ザンによって赤ん坊は救われ、ほかの町で幸せに暮していました。ある時、助けた赤ん坊の愛らしさに見とれたザンは、うっかり月の光を飲ませてしまいました。ルナと名づけられた少女はザンに育てられ、やがて不思議な力を示すようになります。

 

感想 結論から言うとかなりいまいちでした(゚~゚)。

まず、いいところから言うと 

・出だしがいい。謎の語りとか、魔女とかいけにえとか、すごくワクワクしました。これは秀逸でしたf:id:g-mccaghrean:20190802160853p:plain

・魔女の話をしているのは誰なんだろう、という謎が気になって読み進められた

 

悪い点 ここから先は、本書が大好きだという方が読むと不快になる恐れがあります。かなり辛口です。ご注意!

 

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希望(ホープ)のいる町 ネタばれなし感想

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2001年 ニューベリー賞オナー賞受賞f:id:g-mccaghrean:20190721182245j:plain

ジョーン・バウアー 作                

作品社

(翻訳家金原瑞人さん推薦作品)

面白さ ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190719215422j:plain

メッセージ性 ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190719215422j:plain

読みやすさ ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190719215422j:plain

 

内容 あたしはパパの名も知らず、ママも幼いあたしをおばさんに預けて出て行ってしまった。でもあたしは、自分の名前をホープに変えて、人生の荒波に立ちむかう……。
ウェイトレスをしながら高校に通う少女が、名コックのおばさんと一緒に小さな町の町長選で正義感に燃えて大活躍。

 

感想 すごくよく出来た物語で、引き込まれる面白さですf:id:g-mccaghrean:20190719215900p:plain

社会小説としても、ヒューマンドラマとしても、ヤングアダルトとしても秀逸f:id:g-mccaghrean:20190719215422j:plain

初登場の人物が出てきた瞬間、どんな人かわかる、簡潔でスマートな文章。

十代の子に、政治へ興味を持たせるのに勧めてもよさそう

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クローディアの秘密 ネタばれなし感想

 

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カニグズバーグ

岩波書店

1968年 ニューベリー賞受賞f:id:g-mccaghrean:20190719215514j:plain

面白さ ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190719215422j:plain

メッセージ性 ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190719215422j:plain

わくわく度 ★★★★★ 満点f:id:g-mccaghrean:20190719215422j:plain

内容 クローディアは退屈だった。何か変わったことがしてみたい。でもダサいのはいや。家出することにしたクローディアは、一定の目標を持って計画を立てる。それは、快適で、今までとまったく違っていて、家のように気楽でいられるところへ行くこと。クローディアは慎重にパートナー(弟)を指名し、行き先(メトロポリタン美術館)を選んだ。でも、冒険に不測の事態はつきもの。すぐに、クローディアと弟のジェイミーは、専門家でも解けないような美術品にまつわるミステリーに巻きこまれることに。しかし、この謎を解くことができれば、クローディア自身が求める答えが見つかるかもしれない。 ユニークなストーリー、読者の心をつかんで離さない文体、独特な線画で定評のあるカニングズバーグの作品。ニューベリー賞受賞作の本書も、読者に本を置かせるすきを与えない。一角の人間になりたいというクローディアの願いと、その願いをかなえるために自分探しに出る物語は、特に思春期の入口にいて本当の自分を探し求めようとする子どもたちにとって、共感するところが多いはず。

感想 かなり有名な本なので、すでに語りつくされ、今更私なぞが語ることもないくらいですが。

本書は小学生の頃から大好きな本で、もう何度目の再読かわからないくらいなのですが、それでもやっぱりおもしろい。わくわくします!こんなに何度読んでも面白い本もそうそうないですよ!

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